第18話 二つの道

東の森に向かうことが決まってから、アオイはずっとはしゃいでいる。

「どうしたの?アオイ
さっきからやけにはしゃいじゃって」

「これが落ち着いていられますか!
エルフよエルフ!
RPGでも定番中の定番のエルフよ!
あぁ、早く会ってみたいわ~本物のエルフに」

目を輝かせながら東の空を見つめるその姿は、年相応の女の子だった。

東に向かいしばらく歩いていると森が見えてきた。
俺たちが森の中へ入ろうとすると中から声が聞こえてきた。

「そこの君たち! 止まりなさい」

声の主へ目を向けると、弓を携えたエルフ族の男性が立っていた。

「あの!エルフさん! 私たち決して怪しいものじゃないんです!」

「ん? これはまたずいぶんと珍しい旅の者たちだな。
我らの森に何用だ?」

「実は魔王様の使いとしてミロンさんに会いに来たんです」

「魔王様の使いだと?
ふむ、魔使いのペンダントもあるようだし僅かながら魔王様の魔力も感じる。
よしわかった、そこの人間の女とゴブリンだけミロン様への謁見を認めよう!」

「なぜ俺たちはダメなんですか?」

「お前は前世の記憶を夢で見る”夢見る子”だろ?」

「なぜわかるんですか!?」

「そんなもの我々エルフにとっては簡単にわかることだ。
ミロン様には予知能力があってな、予言によるとこの森に夢見る子が来るとき災厄が降りかかるというものなのだ。
だからお前を森に入れることはできない、そこのゾンビとゴーストもだ。不死者であるものをこの森に入れるわけにはいかぬ」

「そんな・・・」

「ラルフ、ここは私たちに任せてくれないかしら?」

「アオイ?」

「幸い私とリンはこの森に入ることを許されてるみたいだから、私たちだけでミロンに会ってくるわ」

「アオイとリンだけで?
さすがに女の子二人だけは危険な気が・・・」

「もし何かあったらあたいとスイがアオイを守るから大丈夫だよ!!」

「だけど・・・」

「ラルフ、心配する気持ちはわかるが今は二人に任せるしかないのではないか?
アオイとリンが、ただか弱いだけの女の子ではないことは今までの旅の中で十分にわかっただろう?
仲間である私たちが信頼してあげないと!」

「そう、だよね!」

「私だってか弱い女の子なんだから・・・
でもありがとうファイス。私たちを信用してくれて」

「うむ、では私たちはこの森の外で待っているからな。
くれぐれも気を付けるように!」

「アオイもリンも無茶はしないで」

「わかったわ
じゃあ行ってくるね、ラルフ、ファイス」

「待っててねー!!」

こうしてミロンの事は女性陣に任せ、俺たち男性陣は森から離れた草原で待機することになった。

「待つとは言ったものの、俺たちは何をしてればいいんだろう。
今までずっと皆で行動してきたし、なんだか不思議な気分」

「そうだなぁ
私とラルフだけになるのは久しぶりだな」

「邪魔して悪いようだけど、僕もいるからね~」

「そういえばそうだったな、すまんすまん」

「大丈夫、気にしてないよ~
で、ずっと気になってたんだけど皆の旅の目的って何なの?」

「今まで色々あって話してなかったな。
長くなるがいい時間つぶしになるだろう」

俺とファイスでカースに旅の目的を説明した。

「もしかして僕、凄い大変な旅に参加しちゃった?」

「そうだね、今まで説明してなくてごめん」

「どんな事情があろうとも僕はみんなのことが気に入ってるから、ついていくだけさ!
それにしても驚いたよ! ファイスと僕の境遇が似てるんだもん!」

「確かにそうだな、ラルフと初めて会った時はまさか自分が死んでソンビになって、旅をするなんて夢にも思ってなかったからな!」

「それは僕もだよ! 長いこと生きてると人生何が起こるかわからないもんだね~」

「俺たちもう死んでるだろ?」

「あ、そうだった!」

ファイスとカースがアンデット同士の話に花を咲かせる中、ゆっくりと時間が過ぎていった。
そしてもうすぐ日が暮れるというころ、近くの茂みで草がこすれる音がした。

「もしかしたら魔物かもしれない、二人とも周囲を警戒して!」

周囲を警戒し始めた矢先、複数の黒い影が目の前に現れ次の瞬間強い衝撃を感じた。

「一体何者・・・だ・・・」

遠のく意識の中俺が最後に見たものは、複数の鎧だった。

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