第4話 深夜の襲撃者

検問所を抜けた先は険しい道が続いていた。
今までのように一本道だけではなく途中で分かれ道もあり、ファイスさんの道案内が無ければ間違いなく道に迷っていたと思う。

王都への道すがらファイスさんと色んな話をした。
ファイスというのは兵士さんの名前で、検問所での警備の前は王都の城を警備をしていたらしい。
村の人以外とちゃんと話すのは初めてで最初は緊張したけど、
ファイスさんは兵士という肩書に似合わず、気さくで優しい人だったのですぐに打ち解けられた。

「ラルフ君この森を抜ければもうすぐ王都だ、今日はもう日が暮れるからここらで野宿をしよう。
私が見張りをする」

ファイスさんが野宿を提案するころには村を出てから半日以上たち、辺りはすっかり日が暮れていた。

「ファイスさんは休まなくて大丈夫なの?」

「私なら大丈夫だ、王都にいたころは夜通し警備したこともあったから問題ない。
まぁ見張りをすると言っても、王都周辺のこのあたりに危険な動物が出るという話は聞いたことないし安心して寝なさい」

「うん、わかった」

疲れていた僕はすぐに眠りについてしまった。

意識が深い闇へと落ちていく中誰かの声が聞こえる

「・・・ラ・・・フ! 起きろラルフ!」

びっくりして飛び起きるとファイスさんが険しい表情で道の先を見つめていた。

「ファイス・・・さん? どうしたの!?」

「どうやら何者かが私たちを狙っているみたいだ、しかもただの野犬ではなさそうだ」

「えっ、えっ!? どういうこと」

「落ち着きなさい。大丈夫だ、私がついてる」

そうつぶやくとファイスさんは僕の背中を優しく撫でてくれた。
おかげで僕は冷静さを取り戻すことが出来た。
ファイスさんの目線の先の物陰から何かが飛び出してきた。

「!? 」

現れたのはライオンの頭とヤギの身体そしてヘビの尻尾を持つ魔族、キマイラだった。

「!? なぜキマイラがここに? 普通こんな森の中で見かけることはないはずだが、しかも相当気が立っているように見える」

まだキマイラは僕たちの存在に気づいていないみたいだけど、ゆっくりとこちらに歩いてきている。

「これは相当危ないかもしれない・・・私は奴の相手をする。だから君は逃げるんだ」

「何言ってるの!? 僕と一緒に逃げようよ!」

「なぜキマイラがここにいてしかも気が立っているのか理由はわからないが、見逃すわけにはいかない。
もしかしたら王都や君のいる村にだって被害が及ぶかもしれない」

「それはそうだけど・・・」

「私は国に使える兵士だ、民間人に危害が及ぶとわかっていて引くわけにはいかない。
君を王都まで送り届けると約束したのに申し訳ない。
なぁにさっさと追い払ってすぐ君に追いつくから安心しなさい」

そう言ってファイスさんは僕に微笑みかけた。

「どうしてこんな状況で笑えるのさ!」

「・・・こんな状況だからこそ笑わなきゃやってられないんだよ」

「そんなの・・・嫌だよ!」

「わがままを言うんじゃない! 国王様を説得するのは君にしかできない使命なんだ
それを忘れないでくれ」

ファイスさんは僕の目を見て強く言った。
さっきまで離れたところにいたキマイラは僕たちのいるところにどんどん近づいてきている。

「わかった、僕一人で王都へ行くよ」

「それでこそ男の子だ、さぁ行くんだラルフ!!」

手に持っている槍を強く握りしめファイスさんは僕に言葉をかけた。
僕は頷くと全力で走りだした。
走り出してすぐに後ろの方で声が聞こえる。

「うぉおおおお!おい!化け物め! 俺が相手になってやる!! かかってきやがれ!!」

「グルルゥオオオ!!!!!!」

ファイスさんの大声とそれに答えるようなキマイラの雄たけびが静かな森の中に響いた。

あれからどれほど歩いたかわからない。
ファイスさんの事やなぜキマイラがいたのかとか考えてるうちに、
気が付くと夜が明けていた。
朝日のおかげで辺りが一気に明るくなり、顔を上げると高い壁が僕の目の前にそびえ立っていた。

僕は王都カラストルに着いた。

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