第3話 目指すは王都

翌日

僕は出発前に村唯一の武器屋、ジャックおじさんの店で装備を揃えることにした。

「おじさん! おはよう!」

「朝から早いなラルフ! もう出発かい?」

「うん、善は急げだからね。
それで何か護身用になる武器とかって残ってる?」

「そうか、ここ数日でなんだか大変なことになっちまったよな
実はなこの前奴らに荒らされた時にも奪われずに残っていた武器が一つだけあるんだ」

「本当に!? どんな武器なの?」

「それはこの宝箱に入っているものなんだが・・・」

おじさんはカウンターの後ろに置いてある宝箱を鍵で開け綺麗な短剣を取り出した。

「この武器は【護りの短剣】と呼ばれているものでな、昔腕利きの鍛冶屋が自分の護身用に作ったと言われているもので、
代々この家の家宝だからこの鍵付きの宝箱にしまっておいたんだ」

「そんな大事なものを僕がもらっていいの?」

「ああもちろんだ。 武器は他にもあるが子どもにも扱えて
王都に持って行っても恥ずかしくない見栄えの武器はこれ以外にないし、この短剣も元々護身用として作られたものだしな
お前さんの役に立てれば嬉しいだろうよ!」

「どうしてこんなに綺麗な武器が残ってたんだろう」

「それがな、奴らはなぜかこの宝箱は開けられないと思い込んでたらしく手を付けなかったんだ。
あれだけの力があればこじ開けられたかもしれないのに・・・不思議なものだな」

おじさんは首を傾げた。

「ところでお前さんとこの親父と妹はどうした? 昨日の集まりにも顔を出してなかったみたいだが」

「父さんとアンナはやつらが来た日の朝早くに、畑で採れた野菜を売りに遠くの村まで出かけたからね。」

「おお、そうだったのか二人が帰ってきたらこの状況に驚くだろうな」

「随分荒れちゃったもんね。本当は二人にもちゃんと話してから出発したかったんだけど、そうも言ってられないしね」

「・・・お前には大変な役割を任せちまって悪いな」

「大丈夫だよ! 僕これでも結構楽しみなんだよ? 王都に行くの初めてだもん!」

いざ武器を手に入れ荷支度を整えると不安はより感じなくなって、
一度も足を踏み入れたことが無い王都への好奇心のほうが上回っていた。

「ハッハッハッ!! 好奇心があるのはいいことだな! 好奇心ありすぎて無茶はするなよ?」

「わかってる! じゃあ行ってくるね! 武器ありがとうね!」

おじさんや村の皆に見送られながら僕は村を出発した。
王都に着くまでの間に必要な水と食料、そして村長の手紙を持った。
手紙には村長のサインとともにこう書かれている。

『昨日怪しい奴らが突如村にやってきて、家を荒らしまわり金品を強奪して去って行った。
何者か分からないが力も強く魔法の使い手もいた。
国王様には奴らを捕縛するために力を貸してほしいのじゃ。
大人相手にはまともに取り合ってくれないみたいなので、この手紙を持つラルフに説得をお願いをした。
どうか彼を王都まで道案内してやってほしい』

期待と不安を感じながら僕は王都に向かい出発した・・・。

しばらく道なりに歩くとすぐ検問所に着いた。
検問所には王都の兵士が何人か常駐していて、怪しい者が王都の領域に近づかないか監視している。

「すいませーん! 誰かいませんかー」

「何か用ですか?」

僕の呼びかけに奥から出てきた鎧を着た兵士が答えた。

「僕はラントリールの村のラルフです」

「ラントリール村かぁ、あの村の者が王都に用事とは珍しい、
何か急用かな?」

「はい。実は・・・」

僕は村長の手紙を兵士さんに差し出した。

「確かにこれは村長のサインだ。
なになに・・・怪しい奴らに村を荒らされただって?」

「そうなんです! 奴らが村を荒らしまわったせいで村中の家がめちゃくちゃで・・・でも強くて
僕たちじゃ敵わなくて」

「そんなはずはない。 私たちはここでずっと監視をしているが怪しいものが通ったことは一度もないぞ!
それにここを通らなければ村には行けないはずだし他の道を使ったことも考えにくい。
まぁ強いて言うなら勇者を名乗る者三人組が通ったくらいだが・・・」

「!? そいつらです! 僕たちの村を襲ったのは!」

「なんだって? あの勇者様たちが? 彼らは『この者たちを勇者と認める』と書かれた国王様の手紙と通行手形を持っていたんだが・・・本当にそいつらなのか?」

「そんな・・・でも本当なんです!!」

「・・・君が何も持たずここに来ていたならすぐにでも追い返していたのだが、村長のサインが入った手紙を持っているし
どちらかが偽物? いやそんなはずは・・・」

兵士さんは疑いつつも何やら迷っているようだった。

「実は気になることがあってな、君も知っているかもしれんが今の国王は君と同じくらいの年齢の子供なんだ。
まだまだ遊び帯盛りのせいか国王の地位を利用して、王都内でよく色んなイタズラをして皆を困らせているみたいなんだよ」

「国王様がイタズラ?」

僕もたまーにイタズラはするけど王都を巻き込むような規模のイタズラなんてしたことない。

「でも国王様の手紙と通行手形を持ったものを通さないわけにはいかないから何も言わずに通したのだが・・・
そいつらが村で盗人のような悪さを働いていたなら話は別だ、そのようなやからに勇者を名乗らせるのはいくら国王様でもいいことではないしな
・・・よし、ここを通ることを許可しよう!」

「あっありがとうございます!!」

「あと道案内の件だが、これも何かの縁だ私が王都まで同行しよう。
本当はここの警備を手薄にするのはまずいんだが、君一人で行かせるのも気が引けるしな。
それに、国王様の度が過ぎたイタズラが最近目立ち始めているらしくてね
同じくらいの年頃の君からもガツンと言ってやってほしいんだ! 同年代の君に言われれば少しは落ち着くだろうしね」

「よろしくお願いします!」

僕は深々と頭を下げた。
もし本当に国王様のイタズラだったなら僕がなんとかしないと。
それが僕の役目だ。

僕たちは検問所を抜け王都カラストルに向かった。

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